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穴井文彦:ライフ×ワーク

Vol.6 自由を我等に

自由を我等に
夏休みということで、大学生を対象にインターンシップを実施しています。
今回が初の試みです。
学生たちは何を期待して参加しているのでしょうか。

聞いてみると、就職や仕事に関しては、まだそんなに深く考えていないようです。制作系の会社で大きなスタジオとかあるので、なんか面白そうだなとか、雰囲気がよさそうだなとか思っているのかもしれません。社員の多くがカジュアルな服装なので、自由な会社の印象をもつと思いますが、実際はかなり細かな管理をしていて、時間やお金の使い方にもうるさいです。そうでないと、今どき業績を維持することなどできないです。制作会社もそんなに自由には振舞えない時代なのです。

インターンシップでは毎回、学生に1時間ほど話をします。主に会社の考え方を話しますが、その中で学生にいつも言うのが「会社に入るだけが収入を得る道ではない」ということです。就職しなくても起業や自営で生きる道もあるということです。逆に言えば会社に入ったからといって、生活や収入の安定が保証されているわけではないということです。

日本を代表する大手企業が大掛かりな人員整理をする時代です。整理対象にならなくても、想定外の配転や出向は普通にあります。就職から定年まで普通なら40年近く働くことになります。変化の激しい時代ですから、これから先の40年間がどうなるかは、誰にも予測できないことだと思います。
だから、学生はより大きく安定した会社、あるいは公務員を目指したくなるのでしょう。しかし、歴史上もっとも大きな生物である恐竜は、その巨大さ故に環境の変化に対応できず絶滅したと言われています。大きい方が環境の変化には対応しにくいものです。そう考えると小さな会社をつくって信頼できる人たちとのネットワークを生かした方が、時代の変化に対応できるかもしれません。

特にインターネットが発達した今は、組織に属さなくても多くの人の力や知恵を借りることができる素晴らしい時代です。組織に縛られることなく、自由に事業を始めることができる時代なのです。確かにいきなり起業というのはリスクが大きいでしょう。ならば、ビジネススキルを磨くために就職するというのは、合理的な選択かもしれません。社長というと責任が重くて苦労が多そうですが、ある調査によれば、現場の社員よりも社長の方が長生きだそうです。その理由は「選択の自由」があるからだとか。

社会が高度に発達すればするほど、組織の成員には役割や責任が生まれ、好き勝手なことがしにくくなります。そんな時代だから、「自由」はとっても貴重なものなのかもしれません。昔、観たチャップリンの「モダンタイムズ」(1936年)は高度な管理社会の中で自由の尊さを訴えた名作です。最近は観ていないけど、70年以上経ってもその主題は価値を失っていないように思います。
やっぱり、若い人には起業にチャレンジしてほしいのです。

2013/08/26