仕事をしながら学校に通い、シナリオライターを目指す綾。美人で都会的で華やかな綾だが、自分本位な性格で人付き合いがうまくできない。原稿がラジオドラマに選ばれ、共同執筆者を立てることが条件と言われた綾は、偶然会社のトイレで出会った、綾とは正反対の地味で大人しい性格の幸子を利用しようとする。ところが綾に憧れを抱く幸子は、それをきっかけに綾の私生活にどんどん入り込み、役に立ちたいとシナリオにも口を出すようになる…。

正反対の女性2人の変容していく関係性を、静かなタッチで描いた『螺旋銀河』。草野なつか監督の長編デビュー作である。

女性同士の関係というのはひとくちに説明できるほど単純なものではない（女性なら誰でもわかる通りに）。憧れる。その人になりたいと願う。何でも真似をしようとする。自分にないものを持っている相手に嫉妬する。相手より優位に立ちたいと思う。役に立つと思われたい。彼女にだけは負けたくない。その感情はさまざまで、万華鏡のようにくるくると姿を変えてゆく。

それらひとつひとつの感情を丁寧に掬い取るだけでなく、その間断ない変化をも見逃さずに描けるのは女性監督だからと言えるかもしれない。社会人になると、綾と幸子のようにぶつかり合って関係性を変化させてゆくような体験はほとんどなくなる。久しぶりに映画で疑似体験をしてゾクゾクした。ぜひ女性に観てほしい映画だ。

元町映画館☆特集トップへ戻る→