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元町映画館☆特集

やさしくなあに 奈緒ちゃんと家族の35年

2017年度キネマ旬報ベストテン(文化映画)第3位入賞作品

お久しぶりのドキュメンタリー映画。今回は障害を抱える女の子を35年間撮り続けた作品をご紹介。

ドキュメンタリー映像作家・伊勢真一監督が障害を抱える自身の姪、奈緒ちゃんを撮影した記録映画。『奈緒ちゃん』『ぴぐれっと』『ありがとう』に続くシリーズ最新作。
35年にも及ぶ撮影期間のなかで奈緒ちゃんの成長、そしてそれを見守る家族の姿が描かれています。

自由に生きる奈緒ちゃん、本作では44歳、天真爛漫に育っています。過去作品は未見ですが本作は総集編のようなつくりとなっており、奈緒ちゃんを中心とした家族が抱える問題や家族を想う心が丁寧に描かれています。

家族みんなが、仲良しな点は過去の作品や映像からも見えてきます。でも奈緒ちゃんが成長するということは両親や兄弟も成長し歳をとっていきます。変わる環境、家族みんなで一緒にいる時間が増えるほど、新たに問題が持ち上がってきます。そんな一瞬一瞬をカメラは逃しません。

印象的だったのは奈緒ちゃんが急にカメラの前で倒れるシーン。撮影クルーも初めてそんな現場に立ち会ったのか、カメラは正確に正面を捉えることができません。しかし家族は誰一人として取り乱すことはありませんでした。淡々と目の前の事実を片付けていきます。その光景は少し異様で、驚きというよりは「少し怖かった」というほうが強いです。元気だった人が急にそうでなくなる。笑顔で接していた家族が淡々と対処する。ドラマでもフィクションでもない、これが「現実」なんだと突きつけられました。

本作のなくてはならない存在が奈緒ちゃんの母親。彼女は本作のもう一人の主人公といっても過言ではありません。家族の大黒柱。彼女の言動が本作の最も大きな魅力ではないでしょうか。奈緒ちゃんの存在に加えて、父の姿、態度を見て家出をします。自分で部屋を借りて生活を始める。母の静かな抵抗、闘いです。お母さんも自分の感情の捌け口が欲しかったんだなと推測できます。

でも本作をみて、完璧な家族なんてないんだと思いました。誰もが我慢していたり、不満や不安を抱えている。本作の切り口としては障害を抱える奈緒ちゃんの記録映像として撮り始めたものが、家族全体の人生を記録することになった。大変そうだなとか、しんどいだろうなという同情意見は本作に必要ないと思います。これをみて自分の家族のことを思い出してほしいです。いつもありがとうとか、ごめんなさいとか言えているか。そんな当たり前のことを教えてくれているような気がします。

「『やさしくなあに』って言わなくちゃ」とお母さんが奈緒ちゃんに向かっていう言葉が全てです。観客につたえたいことはこの言葉に詰まっていると思います。

家族、大事にしよう。
やさしくなあに 奈緒ちゃんと家族の35年
(監督:伊勢真一/2017/日本/110分)

上映スケジュール
2/24(土)~3/2(金)
12:20~
3/3(土)~3/9(金)
10:30~

※2/24(土)~3/2(金)には「奈緒ちゃん」シリーズ3作品を日替わり上映。
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