元町映画館☆特集
ウクライナを、ロシアを映画で観る
『ひまわり』は1970年に公開され、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの名優コンビが主演し、日本でも大ヒットしたイタリア映画です!第二次世界大戦下、ソ連との戦線に送られてしまったことで運命の歯車が狂っていく男女の悲恋を、一度聞いたら忘れられない流麗な音楽と共に綴られております。
この映画はタイトルの通り一面の美しいひまわり畑が印象的な映画で、実はこのロケ地。当時はソ連下にあった現在のウクライナに位置するひまわり畑だったようです。「悲恋の物語」が取り沙汰されることが多い今作ですが、50年の時を経て、現状を踏まえた上で美しいひまわり畑を観ると、失われた美しい何かへの想いが思わず…。
時が経ち、図らずもさらに奥行きができた、できてしまったという今作。初めてご鑑賞されるという方にももちろん自信をもってオススメしますが、既にご鑑賞されている方にも是非ともスクリーンでもう一度ご鑑賞をオススメします!きっとまた違ったひまわり畑が見られることかと思います!
最近のニュースでも改めて名前を聞く機会が増えているかと思います、ウクライナ東部のドンバス地方。2014年にこのドンバス地方で起きた内戦を、ウクライナ出身のドキュメンタリー作家セルゲイ・ロズニツァ監督がブラック、いや!ダーク・ユーモアたっぷりに描いた劇映画です。
このセルゲイ・ロズニツァという人は、世界的には高い評価をうけながらも、日本では馴染みが薄いと言っても良い監督の一人だったかとおもいます。私も恥ずかしながら全く存じ上げておりませんでした…。そんな折に、配給会社のサニーフィルムさんが昨年(突然!) 配給し、当館でも上映した「セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー三選」はまさに衝撃!
ロシアにおける「群衆」を描いたドキュメンタリー映画3本の特集上映だったのですが、テロップやナレーションを用いずに、映像の配置、編集の妙で、風刺であったり皮肉であったり、はっきりとは何も語っていないはずなのに観客の頭の中には様々なメッセージを植え付けていく!なんと…。なんというセンス…!
そんなセルゲイ・ロズニツァ監督が手がけた『ドンバス』。誇張なのか、そのままなのか。笑うところなのか、違うのか。悪意なのか、親切心なのか。そのまま受け取ってしまっても良いのか、大いなる皮肉なのか。頭の中がぐちゃぐちゃになってくるのは、まさに「ロズニツァ節」と言っても過言ではないかと思います。
そして何よりこの映画。これまた現在の状況を踏まえて観ると、あ、あれ…?どう考えてもこんなこと本当はありえないはずなのに、最近きいたあのニュース、あの報道。いったい今起きていることはなんなのか?この映画は!?こちらもぜひスクリーンでご鑑賞ください!呆気にとられた顔で劇場から出て来られる皆様をお待ちしております!
『ひまわり』
(1970年/イタリア/107分)
5/14(土)-5/20(金)10:30-
『ドンバス』
(2018年/ドイツ・ウクライナ・フランス・オランダ・ルーマニア・ポーランド/121分)
6/1(水)-6/3(金)19:00-
6/4(土)-6/10(金)12:30-
6/11(土)-6/17(金)10:30-
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
『ひまわり』/『ドンバス』
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