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元町映画館☆特集

これからずっと船の上『アタラント号』

名だたる映画監督から敬愛される天才ジャン・ヴィゴ監督の名作

長編作品でありながら、アキ・カウリスマキ、フランソワ・トリュフォーら名だたる映画監督から敬愛される天才ジャン・ヴィゴ監督の名作を上映。

こんなお話
田舎町とル・アーヴル間を運航するアタラント号。船には新婚カップルと
老水夫と少年水夫、そして大量の猫ちゃんたち。新婚生活にときめくカップルだったが、嫁が狭い船内に嫌気がさしてくる。そしていい男に口説かれて船を降りてしまう。怒りに震える夫は彼女を置き去りに船を出港させるが…。
これが1934年の作品。信じられない。29歳でこの世を去ったジャン・ヴィゴ監督の初長編にして遺作となる本作。まずとっても自由。白黒映画だから色の派手さはないんだけど、登場人物ら動きの大きさや量でこちらを楽しませてくれる。イチャイチャ新婚カップルにはもちろん恥ずかしさはない。掴みどころのない老水夫に、頼りなさそうな若者。この登場人物の良いところ悪いところプラスマイナス=0みたいな形でちょうどよい。そして色がない=古いというわけじゃない。それはなぜか。映像の中に見られる光の多さだと思う。水の反射、船に太陽の光が当たり反射。大きな光はなくても光の照り返しで映像は一気に光り輝く。その光の反射のように登場人物は大きく走りまわる。「うわぁ何だこれ、カッコ良い!」そう思ったときにはすでにジャン・ヴィゴ監督の手の内で転がされているだろう。
 幻想的な映像の中で嫌味っぽくない登場生物の猫にも注目だ。猫たちが一番スクリーンの中で自由に動き回っている。その屈託のない動きは名優も顔負けだ。白黒映画だからって避けて通るのほんともったいない。
 映像の持つ面白みを教えてくれた『アタラント号』。同時期に公開予定の短編と一緒に楽しんで欲しい。映画の見方がかなり広がるはず。
 
アタラント号
(監督:ジャン・ヴィゴ/1934/フランス/88分/L'ATALANTE)

上映スケジュール
6/8(土)~6/14(金)
12:30~