地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、神戸市東灘区の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

神戸市東灘区の地域情報サイト「まいぷれ」

元町映画館☆特集

誰も知らなかった南と北の裏の裏の裏『工作 黒金星と呼ばれた男』

黒金星(ブラック・ヴィーナス)…北への潜入捜査を命じられた南のスパイ

目前に迫る、夏休み。
当館にはもちろん夏休みはございません。連日営業・営業・営業・少し休んで、営業しております。

皆様もこの夏に期待している話題作ありますよね。
そんなあなたにぜひ知っていただきたい。この男の存在を。
その男の名前はファン・ジョンミン。私も劇場スタッフとして勤務するまでは知りませんでした。しかし、この元町映画館で働いているうちに数々の名作に出演している彼の姿を見て思いました…「彼の出演作にハズレなし」…と。
本作『工作 黒金星と呼ばれた男』でも北朝鮮への工作員として大活躍しております。やっぱりハズレなしや…。

こんなお話。
1992年、上司の一言で将校から実業家という全くの別人として生きていくことを命令されたパク・ソギョン。北朝鮮の核兵器開発の実態を探るために実業家になった彼は運良く外貨獲得の責任者で、最高国家権力である金正日と単独で会える重要人物リ・ミョンウン所長との接触に成功する。金持ちの実業家としてマークされていたパクはキャッシュと南の情報を提供することで信頼を得ていく。一方、韓国では総選挙が過熱。96年、総選挙の6日前には北から南への武力挑発も発生。保守派政党が誠直をつけて、野党は全国区で敗れる結果に…。
一方、パクはついにチャンスをものにした。そしてリ所長から電話が…「将軍様(金正日)がパクさんからビジネスの話を聞いてみたい」と…。ついに面会したパク。しかしその成功は彼を次第に追いつめていく。消えていく仲間。疑う軍関係者。そして上司は総選挙の結果を踏まえて、パクを始末するように指示される。97年、目前に迫る総選挙で過熱する世論。その一方で誰も知らない男たちの工作活動があった…。

ね、これだけでもたまらないでしょう。北への潜入捜査を命じられた南のスパイを黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼びます。あのジェームス・○ンドもびっくりの“工作”術。そして本作はほぼアクションシーンなし。命をかけた危険な行動の連続ですが、どれもが交渉によるもの。言動を間違えれば一瞬であの世行きです。そして試される出演者の演技力。ファン・ジョンミンの良さは言わずもがな、柔和な表情の中に死と隣り合わせの切迫感まで自由自在。もう一人の重要人物リ所長を演じるのはイ・ソンミン。冷酷非道な北の軍部の中で祖国と家族のために必死のパッチでこなしていきます。物語の後半ではパクとの友情ゆえに苦渋の決断をすることになりますが、その決断力にあっぱれ。最近、観たパク・チャヌク監督の『JSA』に似た国境を越えた友情。この手のものに弱いのです。私。

本作の最も見所は中盤、故・金正日将軍にパクが接見するシーン。宮殿のような場所で繰り広げられる駆け引き。パクからみるとそこは完全なるアウェー。一歩間違えれば死。上司は助けてくれません。あの優しかった上司はどこへ。非情です。ある有名な映画監督の言葉で「神は細部に宿る」と言いますが、このシーンはぼやけている景色、護衛、料理にお酒までディティールが細かい。その土台があるから芝居が映えてくる。大好物な時間でした。そして迎えるラストシーン。死線をくぐり抜けた仲だからつかむことのできる光。ハラハラドキドキ。この夏、文句なしで楽しめるみんな大好きファン・ジョンミン…『工作 黒金星と呼ばれた男』。ご期待ください!
工作 黒金星と呼ばれた男
(監督:ユン・ジョンビン|主演:ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、チュ・ジフン|2018|韓国|2時間17分)

上映スケジュール
7/20(土)-7/26(金) 15:20~
7/27(土)-8/2(金) 12:40~
8/3(土)-8/9(金) 14:40~