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元町映画館☆特集

惜春映画『東京の恋人』

「大好き」と相手に想っていいのは青春時代だけだったのか…

あぁ~あの時、あの言葉をかけていれば、今/現在はこうはなっていなかった…と曖昧な表現/言葉でも表現できてしまう青春時代。濃い人もいれば、特にない、今が最高!!という人。過去は振り返らない…と過ごしてきた時間は人の数だけあるのが人生ですが、その体験の一つを切り取ったのが本作『東京の恋人』。映画監督を目指していた男子大学生とその恋人の今と過去を描いたドラマ。

もう本作は最後の1シーンに全てが詰まっていると思います。よく言うでしょ、点と点が繋がって線になる。仕方なく別れた男女が一夜だけ再開し、それは別れでもあった…。

こんなお話

別れてから7年ぶりの再会となった立夫はかつての恋人。満里奈と東京で会うことに。妻に嘘をついて出会う秘密の時間。過去のキラキラした時間をまた同じく辿るように楽しい時間を過ごす二人。そしてもう戻れない時間との決別の朝を迎えた。東京での時間で受け取ったビデオテープを見ることにした立夫。そこに映っていたのは彼と満里奈の約束だった…。

公式サイトに光る「惜春映画」という文字。初めて知ったその言葉。
「これは青春時代を満足/謳歌したものだけに許された言葉…」と一瞬脳裏をかすめました。危ない危ない。
恋愛映画でもあるんだけれど、夢を追った男性とその夢を側にいて応援したかった女性の話です。つまり恋愛映画なんだけれど、綺麗事じゃ終われない、実力と時間と、どうしようもない事象によって二人の関係は阻まれていきます。夢を年齢と闘いながらギリギリまで粘るも最後は妥協してしまう立夫。拾ってくれたところに感謝しつつも、過去を忘れることができないのは多くの反感を買うかもしれません。でもそれを恋愛ベースにのせつつ描いた監督はすごいの一言。追い討ちをかけるように現在の職場の上司から「結婚相手は1番好きな人じゃないんだ、これは」と言わせてしまう。「大好き」と相手に想っていいのは青春時代だけだったのか…と観ながら考えてしまう。

映画の中の時間は今をたどっている。そして終盤、満里奈からもらったビデオテープ。学生時代に預かっていたそれを酔った状態で見ようとする立夫。そこから時間は過去にシフトしていく。ゆっくりかつ自由な時間だった学生時代。その思いに重い罰を与えた満里奈からのメッセージはぐうの音もでないほどだ。受け取った立夫の行動は決して許される行動ではないかもしれないが、それでも人間ってこうあるべきかとも考えさせられる。

うぁ~この映画どう思う?こんな恋愛/二人の関係ってありなの??と居酒屋や馴染みのバーで友人と話し合いたくなる。

しかし私自身これを観たのは私以外誰もいない試写だった…。主演の満里奈役の川上奈々美さんも登場するエンディングに流れる東京60WATTS「外は寒いから」。試写後はかなりの暑さだったけれど、歌詞にもある「缶ビール呑み尽くして~」ととも缶ビールを飲んだ。その味は忘れないだろう。

ぜひ本作を観た方、発信してください。あなたはこの『東京の恋人/The MODERN LOVERS』の男女、アリ/ナシ??
東京の恋人
監督:オリヴァー・チャン
製作:フルーツ・チャン
出演:アンソニー・ウォン、クリセル・コンサンジ、サム・リー、セシリア・イップ
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
2018年/香港/原題:淪落人/英題:STILL HUMAN 112分/ビスタ/5.1ch/G
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED (c)2018 字幕:鈴木真理子

上映スケジュール
8/8(土)~8/14(金) 連日19時30分より