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元町映画館☆特集

あなたがいるから、頑張れる『約束の宇宙(そら)』

夢を選ぶか、親娘の関係をとるか。それともどちらも……。

(c)Carole BETHUEL <br>(c)DHARAMSALA & DARIUS FILMS
(c)Carole BETHUEL 
(c)DHARAMSALA & DARIUS FILMS
こんなお話

欧州宇宙機関(ESA)で働くフランス人宇宙飛行士のサラ。彼女の長年の夢である宇宙へ行くことまであと一歩。日々訓練に励んでいた。別れた夫との間に生まれた7歳の娘ステラと暮らす彼女。ある日、彼女の功績が認められ、“Proxima”と名づけられたミッションのクルーに選ばれた。しかしそのミッションに参加すると約1年間、娘と離れて暮らさなければならなかった……。

宇宙飛行士になる。かなりの努力を有するのに、母親になっても継続、実現する。大きな目標「宇宙にいく」ことを夢みるサラ。本作では欧州の宇宙機関が舞台になっている。まずここが見どころの一つでしょう。

初めて観た欧州宇宙機関
宇宙モノ。宇宙機関が舞台だったり、実際に宇宙ステーションが舞台だったり。本当いろいろなものが作られたきましたが、本作がESAという少々馴染みがない名前。「NASA」とはどう違うのか。それを考えながら観るのも楽しみの一つ。宇宙へ行くための訓練の様子をしっかりと描いている。努力するから、たまに挫折もあるから応援できる。その先に何があるのだろうとワクワクする。宇宙に行ったことはないけれど、いざ出てみれば頼れるのは自分の経験と身一つなのだろう。プール、水中を宇宙に見立てて訓練するシーンもあったが、どこまでが演技でどこまでが辛いのか分からなくなる。サラを演じるエヴァ・グリーン。『OO7/カジノ・ロワイヤル』ではボンドガールを演じた彼女。ずっとかっこいいイメージがあったけど、本作でも芯の強さを見せつけられる。

母として生きること。サラの決断。
宇宙に出る夢まであと一歩のところで、考えるサラ。それはステラの存在。7歳になる娘。宇宙飛行士の娘と言っても7歳。大人っぽいように見えても、やっぱり子ども。サラもそれを知ってか、どうにも踏ん切りが付いていないようだ。身体は宇宙、心は100%宇宙になっていない。それでも日本と違うのかなと思ったのは施設の人々が育児に対して寛容なところだ。大事な会議に娘を連れてきたサラ。初めは反発を買うが、まわりの理解も得て会議は続行(まぁそれが後に波乱を呼ぶ)。この辺も日本の労働環境とは違うのかなと勘ぐってしまう。日本だったら職場に育児を持ち込むのはNGなのかな……。会えないことをステラも理解しているのだろう。旅立つまでの数日間はいつも以上に母に寄り添う、くっついている。「本当は宇宙に行って欲しくない」と。宇宙機関ってどことなく無機質な、色がない感じがしてしまうのです。温度がないというか。建築物的に、宇宙に行くまでに慣れるようにそういうデザインになっているのかもしれません。そんな中で母娘の存在は、暖かい印象を与えます。それは夢を叶えるための努力がそうさせてるのかもしれませんし、娘を見守る愛情なのかもしれません。一方で完璧な人間、母親はいないのだろうと本作で思いました。ネタバレですが、最後のシーンは特にそう。自分だったらどうするか。本人の立場にならないと分かりっこないことですが、サラは決断した。宇宙飛行飛行士として母親として、それを支持するか、批判するか。

サクセスものかと思っているとそうでもない。宇宙のシーンがあるかと言われるとそうでもない。
でも確かにあるのは母と娘の愛。互いを理解するからできることもある。画面に広がる景色と母娘の愛をぜひスクリーンでお確かめください。
約束の宇宙(そら)
(監督:アリス・ウィンクール/2019年/フランス/カラー/107分/ビスタ/原題:Proxima)

上映スケジュール
5/22(土)~5/28(金)15:20~
5/29(土)~6/4(金)12:10~