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穴井文彦:ライフ×ワーク

Vol.3 自営業者がどんどん減っていく日本

Vol.3 自営業者がどんどん減っていく日本
 前回、「長く働いてきた人の言葉」という本を紹介しました。
この本には10人の職業人が登場します。その内、3名はサラリーマンですが、7名は自営業でした。
ふと、こんな疑問がわいてきました。

今の日本って、サラリーマンと自営業者の割合はどのくらいなのだろうか?

 小学生だった頃(1960年代)、クラスメートの親の職業はいろいろだった記憶があります。
多かったのが、お店をしているケースです。魚屋、薬屋、乾物屋、ガラス屋、うどん屋、お店ではないけど医院やバレー教室もありました。
遊びに行くと、店の奥か2階が自宅になっていて、サラリーマンだったうちの家とは雰囲気が違いました。個人経営の商店が元気でスーパーマーケットがまだ珍しかった時代のことです。

 調べてみると、1955年の雇用者(サラリーマン)は就業人口の45%くらいですが、2006年には80%を超えていました。
昔、自営業者の子どもが身近に多かったという印象は間違っていなかったようです。
また、この数字は、この50年間に多くのお店がなくなり、大型流通業に席巻されてきたことの表れともみえます。そんな中で、自営業者として長年、ひとつの仕事を続けて来られた方々はやはり偉大なのだと思います。

 逆に企業の中ではひとつの仕事を究めることが困難な時代なのかもしれません。
大手の企業でも事業の再編やリストラなどが日常的に行われています。技術職として入社したのに、その技術が不要となって、営業部門に配転されたという話はよく聞きます。
逆にその技術にこだわって、転職を繰り返すケースもあります。そのような状況を背景に「職人」という存在が珍しくなり、テレビでよく取り上げられるようになったのかもしれません。

 1960年代を象徴する植木等主演の映画「ニッポン無責任時代」では、「サラリーマンは気楽な稼業・・・」と歌われていました。しかし、今そのような感想をもつ人はいないでしょう。
きびしい競争により現場では常に成果を求められますが、いくらがんばっても先の見えない不安から逃れることはできません。仕事が暇なら暇で、さらに不安は増えるばかりです。
安定をもとめて就職したのに、その安定は実は保証されていなかった。だとしたら、サラリーマンになるメリットとはなんなのでしょう?同じく将来に不安があるのなら、自分の責任で自由にやれる自営という選択がもっと選ばれてもいいような気がします。

 先進国の中で日本の自営業者の比率は高いのですが、近年急速に減少しているそうです。シャッター通り商店街や買い物難民の急増がその事実を裏付けています。
日本に経済的な勢いがないのは、大手企業の問題だけではなく、自営業者が激減していることも原因なのかもしれません。商店街を活性化することには地域活性化以上の経済価値があるように思えます。

2013/07/05