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穴井文彦:ライフ×ワーク

Vol.5 A rolling stones...

A rolling stones gathers no moss

A rolling stones gathers no moss
 前回の「石の上にも3年」とよく似た意味の諺にA rolling stones gathers no mossというのがあります。日本語にすると「転がる石に苔むさず」。職業や住居を変えてばかりいる人は、地位も財産も築けない、という解釈が一般的です。転職を繰り返す若者を戒める時によく使われますね。「いつまでもフラフラしていないで、じっくり腰を落ち着けて働きなさい」、そんな感じですかね。

 しかし、この諺には逆の解釈もあります。新しいことに挑戦し続けていれば、組織や世間の垢にまみれることなく、いつまでも新鮮で柔軟な価値観を身につけられる、というものです。いくつになっても、挑戦意欲を忘れるなということでしょうか。

 65歳定年制が定着しつつある現代では、大学卒業後でも40年以上働かなくてはなりません。そう考えると「石の上に3年」は大切だとしても、「石の上に30年以上」はちょっと問題かもしれません。いや、同じ仕事を続けることはいいとしても、仕事のやり方や考え方は常に変えていく必要があるのではないでしょうか。「継続は力なり」ですが、「その継続力とは変化対応力」なのだ、ということです。そういう意味では「転がる石」であるべきかもしれません。

 イギリスにその名も「転がる石たち」を名乗っているロックグループがあります。ご存じThe Rolling Stonesです。「30歳を過ぎた人間を信じるな」と公言し、「反逆」「反抗」「反体制」を体現していた若き日のストーンズにとって、転がる石は成熟を拒否する反骨の象徴だったのかもしれません。

 そのローリング・ストーンズが昨年、結成50周年を迎えました。デビュー当時の怒れる若者イメージから考えると、70歳になってもまだ続いているというのは、ファンとしてうれしくもあり、驚きでもあります。もちろん彼らの50年間は順風満帆ではありませんでした。最初のリーダーの不慮の死、暴動と殺人、セックスやドラッグのスキャンダルなど、トラブルの連続です。しかし、それでも、このグループは成長を続け、ロック史上もっとも成功したグループとなりました。彼らは今でも「不良」のイメージを保っていますが、その実、健康に気をつかって、ジョギングとかしています。彼らは優れたアーティストですが、一方でしたたかなビジネスマンでもあるのです。

 最初はゴツゴツした石でも転がり続ける内に角が取れて磨き上げられていく。常に変化することが成長するために不可欠だ、ということを理解させるのに、彼らはよいお手本なのかもしれません。「継続は力なり。継続とは変化対応力のことなり」。
というわけで、これを「転がる石の上にも50年」という新しい諺にしてみました。いかがでしょう。おじさんにありがちなこじつけですかね。

2013/08/09